今日は大人の生徒さんとバッハの平均律について勉強しました。
平均律クラヴィーア第一巻よりフーガⅣ嬰ハ短調 BWV849
BWVとは、ヨハン・セバスティアン・バッハの作品につけられた作品番号で,「Bach Werke Verzeichnis」の略です。とてもたくさんあるバッハの作品を整理するためにつけられた番号です。
平均律クラヴィーア第一巻はプレリュードとフーガという形式の曲が2つで一つにまとめられ、24調を全部使って作曲されています。今日はそのなかの4番。プレリュードは前回終了したのでフーガについて大きく考察しました。まず、様式として5声からなる教会様式なのでとにかく重厚です。5声をききわけ、弾きわけるのは当然として、主題が3つ出てきます。それが様々な形で絡み合ってくるのですが、まずは主題を色分けしました。

カラフルな楽譜になってきました。この3つの主題はキリスト教の「三位一体」の象徴でもあるらしいのです。また、冒頭のcis-his-e-dis,この第2音と第3音を結ぶことで譜面上に十字架の図形が現れます。
教会の音楽監督を最後の職としたバッハの信仰心、当時の文化的背景に思いを馳せ、曲中にちりばめられた宗教観が日本人の私にはとても興味深いものでした。日本人はさして宗教を重んじることなく、無宗教というかいろいろな宗教をミックスしますよね。お正月には初詣にいくし、節分で恵方巻を楽しみ、お盆休みをとり、ハロウィンでイベントをしてクリスマスもやっています。全部いいとこどりをする(これはこれで楽しくていいのですが)日本文化で生きている私には、一つの宗教というのが少し素敵な文化にすら思えるのです。信念がある感じ、なのかな。
巻末の「S.D.G」がまた厳かな気持ちにさせらせます。持続可能な、のSDGsではないですよ?ラテン語でSoil Deo Gloriaの略で「ただ神にのみ栄光あれ」という意味なのだそうです。自身の作品が神の栄光を讃えるものであるという表明です。
「ピアノの旧約聖書」といわれる平均律クラヴィーア第一巻。深く感じ入ります。深みのあるよいレッスンができました。
