先日、お勉強させていただいた演奏会。おしゃれなギャラリーにピアノを運び込んでの開催でした。長くお世話になっている調律師のpianohouse.mmgさんが手がけたコンサートで、ピアノの搬入や調律、マネジメントもされています。センスの良い職人気質の美人さんで、この日もピアノの横に置かれたお花がなんともさり気ないおしゃんを作り出していました。
普段はギャラリーとして使われている名古屋市東区のエンネさんは、あちこちにアートがある空間でした。植物とコンクリートのバランスに、ピアノの木材と金属部品のバランスがリンクしているような印象。物と物の間の空間が、計算されたかのようです。こういう作品たちは、まるで音楽を3D化しているようだと思います。音楽は聞こえている「音」と、聞こえていない「間」で構成されています。音と音の「間」は、単に休符や息継ぎだけではなく、デザインされているべきです。なんとなく間が空いてしまったわ、ではなく、意図をもって聞こえない音を作るのです。それを視覚として捉えることのできる空間だったので、ギャラリーに座っているだけで大変勉強になります。
フランスの作曲家であるダマーズの作品を聴くのは、今回が初めて。2013年まで存命だったので、つい最近の人ですね。短くて軽い感じ、プーランクやフォーレに似ている印象でした。お伽話の題名がついた作品集がとてもかわいくて、イメージがつかみやすいので、研究教材にいいんじゃないかしら。とてもきれいな音色で弾いておられたので、音の配置の美しさが際立ちました。通常、たくさんの人がクラシック作品を弾いているものを参考にして演奏技術を研究していくことが多いので、新しい作曲家の作品は資料が少なくてピアニストは苦労するはず。ですが、見事に自分のものにしてしまっているピアニストの山田磨依さん、素晴らしかったです。音色がきらきらで、丁寧に全部の音を研究して出しているのがうかがえます。
目も耳も脳も、たくさん刺激されて大満足でした。